「環境にやさしい」って、どういう意味? プラスチックで考えてみた

「環境にやさしい」って、どういう意味? プラスチックで考えてみた

「環境にやさしい」って言うけれど——それ、説明できますか?

「環境にやさしい素材を使いたいんです」——そんな声を、当社でも製品開発や素材選定の現場で聞くことが増えてきました。今やどの企業も、SDGsやカーボンニュートラルへの対応は避けて通れない課題です。「環境配慮」は企業活動の必須条件となりつつあります。

けれど、そもそも「環境にやさしい」って、どういう意味でしょうか?

コバレジくん

「自然素材なら安心」って思いがちレジ。でも、ほんとは違うレジか?

さて、どうでしょう?
実は「環境にやさしい」って、ちゃんと定義されてるわけじゃないんだ。今日は一緒に、その中身を整理してみようか。

HP担当者

「環境にやさしい」の定義って、どこにある?

実は、「環境にやさしい」という言葉には、法律上の明確な定義はありません。

コバレジくん

「環境にやさしい」と同じような意味で、
環境に配慮/エコ/サステナブル…などといった言葉もよく見るレジね

環境省などが策定した「環境表示ガイドライン(ISO/JIS Q 14020等に準拠)」では、「環境に配慮」といった表示を行う際には、できる限り具体的な根拠や評価の裏付けを示すことが推奨されています(※注1)。

ただし、そうした根拠が必ずしも厳密な基準や認証制度に裏付けられているわけではないため、企業としては、誤解を招かないよう「何がどう環境に配慮されているのか」を丁寧に伝える姿勢が求められます。

でも、実際には“エコ素材”って書かれてても、何がどう“エコ”なのか書かれてないこともあるよね。

HP担当者

コバレジくん

“緑っぽいパッケージ=やさしそう”って思っちゃうレジ

緑のクリアファイルに入れた資料はなぜか嬉しそうに受け取ってたの、そういうことだったのか…

HP担当者

実際には、「環境への影響」はさまざまな視点から総合的に見て判断されます。

  • 原材料の由来(再生資源・バイオマスなど)
  • 製造時のエネルギー消費量やCO₂排出量
  • 輸送効率(軽量性・省スペース性)
  • 製品の耐久性や再利用性
  • 使用後のリサイクル性や生分解性

つまり、「環境にやさしいかどうか」は、素材そのものだけではなく、製品ライフサイクル全体での評価が必要なのです。

「紙=やさしい/プラ=悪い」は本当?

よくある誤解のひとつに、「紙は自然素材だからやさしい」「プラスチックは人工物だから環境に悪い」というイメージがあります。

コバレジくん

ボク、紙ストローの方が絶対エコだと思ってたレジ…!でも、それって実際どうなんレジ?

いい質問だね。
環境への影響って、見た目や素材のイメージだけじゃ判断しづらいんだ。たとえば、製造から廃棄まで、その製品の一生を通して環境にどんな影響を与えるかを見る“LCA”という評価方法があるよ。

HP担当者

コバレジくん

LCA…?なんか聞いたことはあるレジ。詳しく教えてレジ!

LCAは“ライフサイクルアセスメント”の略。
原材料の採取から製造、使用、廃棄、リサイクルまで、製品の一生を通じた環境負荷を、数値で比較・評価する手法なんだ(※注2)。

HP担当者

たとえば、ある製品を作るときに、どれだけのCO₂を出すのか、水を使うのか、エネルギーを消費するのか…
そういった要素を定量的に見ていくんだよ。

HP担当者

LCAの工程を示した図。資源採取から廃棄までの流れ
LCAの工程と環境評価ポイント

LCAの算出では、紙製品が製造時に多くの水やエネルギーを使う場合がある点も評価項目に含まれます(もちろん、すべての紙製品がそうとは限らず、製品によって差があります)。
また、防水性などの機能を持たせるために、プラスチックでコーティングされているケースもあります。

紙製品には、ナチュラルな見た目や消費者に好印象を与えるといった強みもありますが、すべての環境評価指標で常に紙が優れているとは限りません。

大切なのは、「どの素材か」ではなく、「どのように使われるか」まで含めて評価する視点です。

実は「プラスチック=環境に悪い」とは言い切れない理由

プラスチックは、性質そのものが環境配慮につながる場合があります。
たとえば…

  • 軽量・丈夫で、輸送時の燃料消費を抑制
  • 成形性に優れ、製造時のロスが少ない
  • 長寿命設計や再利用にも適している

そして最近では、環境配慮型プラスチックも増えてきているよ。

HP担当者

【環境配慮型プラスチックの例】

  • バイオマスプラスチック:植物由来の原料を使い、化石資源への依存を軽減(例:バイオPE、PLA)
  • 再生プラスチック:使用済み樹脂をリサイクルし、資源の循環を実現
  • マスバランス方式製品:原料全体にバイオ・再生資源を割り当て、既存インフラを活用しながら環境配慮

コバレジくん

プラスチックも進化してるレジ!

こうした多様な選択肢により、「プラスチック=環境に悪い」という単純な図式では語れない時代になってきているのです。

「どの素材か」より「どう使うか」がカギになる

「環境にやさしい」素材選びに求められるのは、素材単体ではなく、その“使い方”を含めた設計の視点です。

どの用途で、どれくらいの期間使って、どう処理されるのか、
そこまで含めて考えるのが「やさしさ」だよね。

HP担当者

コバレジくん

素材の一生を見るレジね。
……なんか壮大な話になってきたレジ!

たとえば…

  • 使用後の回収が難しい場面、ごみ問題の削減が求められる場面
    =生分解性プラが有効

    (例:畑や山中の雑草防止シート、河川や海岸での清掃が困難なエリアに使われる製品など)
  • 長期使用を想定する用途
    =耐久性の高い再生プラスチックが適している

    (例:再生PPや再生PETを用いた什器や家庭用収納ボックスなど)
  • 軽量化がCO₂削減に直結する輸送材
    =高機能樹脂が効果的

    (例:自動車部品や物流用コンテナなど、積載効率が求められる場面)
  • 焼却や埋立を前提とする用途でのプラスチック使用
    =燃焼時のCO₂排出を抑えられる素材の活用が有効

    (例:バイオマス度の高いフィルム材や、焼却熱利用を想定した高効率素材)

ちなみに、植物由来の原料を使用した「バイオマスプラスチック」は、環境配慮への姿勢を伝える製品やブランド価値向上を目指すパッケージ分野などで特に有効です。
(例:バイオPEを使った食品容器や、企業の環境配慮アピールに活用される製品)

ReseamSTを食品トレーへ採用した事例

当社の環境配慮プラスチック「ReseamST」も、とうもろこしを使ったバイオマスプラスチックです。
石屋製菓株式会社様「白い恋人」のトレー素材として採用いただいております。

つまり、「素材選定=設計の一部」という認識が必要なのです。

まとめ:「やさしさ」を再定義する時代へ

「環境にやさしい」は、もはや単なるイメージではなく、データに基づく戦略的な判断基準になりつつあります。

素材の選び方一つで、製品の環境価値が変わるんだ。
だからこそ、“印象”ではなく“根拠”で選びたいよね。

HP担当者

コバレジくん

「やさしさ」は見た目だけじゃなく、中身で決まるレジ!

「やさしい」という言葉の奥にある素材の特性や背景を、正しく知ってもらうこと。
当社は、プラスチックの可能性と役割をきちんと伝えることで、環境への前向きな選択をサポートしていきたいと考えています。

お役立ち資料のご案内

まずは、当サイトで公開中の以下の資料からチェックしてみてくださいね!

HP担当者

【環境問題の解決に向けて、環境配慮型プラが果たす役割とは?】
本資料では、主な環境問題の解説に加え、適切な素材選びの参考になる「問題別・素材対応表」をご覧いただけます。

ちなみにコバレジくん、19ページ目の「環境課題と素材の対応表」で30分くらいフリーズしてたよね…?

HP担当者

コバレジくん

やさしさって、たぶん“動かない”ことなのレジ……
静かに、そこにいることレジ……

※注1:環境省「環境表示ガイドライン」(ISO/JIS Q 14020および14021準拠)
環境省_環境ラベル等データベース_環境表示ガイドライン
※注2:国立環境研究所 解説「ライフサイクルアセスメント(LCA)」
ライフサイクルアセスメント(LCA) - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア