その配合、ただの混合にあらず!勇者コバレジのバイオマスプラスチック冒険譚

その配合、ただの混合にあらず!勇者コバレジのバイオマスプラスチック冒険譚

はじめに:素材王国に訪れた“分裂”の危機!?

ここは 「素材王国」――多種多様な素材たちが、それぞれの特性を活かして共存してきた世界。

ある日、遠い森から “バイオマス”という新たな素材がやってきました。

しかし、彼らは長らく王国を支えてきた 石油系プラスチックたちとどうにもそりが合わず…。
「環境にいいからって、簡単に混ざれるわけじゃない!」と、素材たちの間に亀裂が生まれはじめてしまったのです。

このままでは、王国の調和が崩れてしまう――
そんなとき、素材たちの未来を守るべく立ち上がったのが、我らが主人公、勇者コバレジ!

勇者コバレジ

素材同士が手を取り合えれば、地球にも王国にも良いはずレジ!

こうして「石油系 × バイオマス」の配合を実現し、両者の強みを引き出すための冒険が始まりました。

とはいえ、ただ混ぜればうまくいくわけではありません。
成分の相性、温度条件、分散性、再資源化性――多くの“試練”が行く手を阻むのです。

勇者コバレジ

素材って、見た目以上に繊細レジ…!

この冒険で立ちはだかる4つの試練は、現実のバイオマスプラスチック・配合タイプ開発における技術課題を象徴しています。
それぞれを乗り越えることで、異なる素材が“共存”し、環境配慮と機能性を両立した新しいプラスチックが生まれていくのです。

バイオマスプラスチックとは?

一旦立ち止まって「バイオマスプラスチック」のおさらいをしましょう。
「植物からできたプラスチック」と聞くと、どれも同じように思えるかもしれませんが、実は2つのタイプに分かれます(下図参照)。

区分特徴イメージ例
変性タイプ植物などを“化学変換”してプラスチック構造に作り変えたものポリ乳酸(PLA)など
配合タイプ石油系プラスチックに、構造を変えないバイオマス素材を“物理的に配合”したもの木粉を混ぜたPPなど

ひとつは、植物由来の資源を化学的に変換し、石油系プラスチックと同じ分子構造に仕立てたもの。これが「バイオマスプラスチック・変性タイプ」です。
もうひとつが、植物素材(でんぷんやセルロースなど)をそのままの形で石油系プラスチックに混ぜ込んだ「バイオマスプラスチック・配合タイプ」です。

「バイオマスプラスチック」といえども、変性タイプと配合タイプでは構造も性質も異なるため、設計や加工の考え方も大きく違ってきます。

バイオマスプラスチック・配合タイプは、既存の石油系プラスチックに、環境にやさしい植物素材の良さを“足し算”するという発想。

そのため、素材同士の相性の悪さや、分散・成形の難しさといった技術的課題が立ちはだかります。

勇者コバレジ

同じ“植物由来”って言っても、まるで性格が違うレジ!

それでも開発者たちは、バイオマスの環境性と、石油系の加工性や耐久性の両立という理想を目指してチャレンジを続けています。
まさに、「異なる素材のいいとこ取り」こそが、この冒険のゴールなのです。

試練Ⅰ「分散の谷」――相性を取り持つ

話は戻り… 勇者コバレジが最初に向かったのは、「分散の谷」

ここは、異なる素材がなかなか心を通わせられずに悩む、難所中の難所です。

勇者コバレジ

ここが最初の試練、“分散の谷”レジか…。でも、素材なんて混ぜちゃえばOKなんじゃないのレジ?

この「混ぜる」ってのが難しいのよ~…

賢者(HP担当者)

実は、バイオマス素材は水に親和性があり、石油系樹脂(とくにポリオレフィン系)は油となじむという、まったく異なる性質を持っています。
そのまま混ぜようとすると、ムラになったり、固まらなかったりといった“相性問題”が発生するのです。

勇者コバレジ

水と油みたいな関係レジ…?

まさにその通り。物性や分子構造が違えば、いくら一緒にしても分かり合えないのよ…

賢者(HP担当者)

そんなとき登場するのが――“素材の仲をとりもつ”添加剤
いわば、バイオマスと石油系樹脂の「相溶性」を高める“仲人役”です。

この添加剤によって、両者の間に橋がかかり、内部構造の均一性が保たれることで、強度や耐久性の低下を防ぐことができます。

勇者コバレジ

添加剤のおかげで、心が通じたレジ…!

試練Ⅱ「成形火山」――高温の攻防

勇者コバレジが次に訪れたのは、灼熱の「成形火山」

ここは、混ぜ合わせた素材たちを製品としてカタチにするための、重要かつ過酷なステージです。

勇者コバレジ

この火山の熱と圧力を越えないと、“真の共存”は果たせないレジね…! にしても暑すぎるレジッ…!!

高温・高圧下での加工には、数々のトラブルがつきまといます。
とくに注意すべきは、素材による融点の違いや粘度差

配合バランスや温度設定を誤ると――

  • 異物のような粒(フィッシュアイ)
  • 成形不良や歪み
  • 黄ばみ(熱による劣化)

といった問題が発生する恐れがあるのです。

熱と時間のバランスを誤ると、せっかくの素材が台無しになるのよ…。

賢者(HP担当者)

この試練を乗り越えるには、“職人技”にも近い、以下のような調整が必要です。

  • 加工温度の最適化(バイオマスと石油系、両者に適した温度帯を探る)
  • スクリュー回転数の調整(押出速度と混練度のバランス)
  • 添加剤による熱安定性の強化(酸化・分解の抑制)

勇者コバレジ

素材たちに仲良くしてもらうのって、本当に骨が折れるレジ…!

でも、ここをクリアできれば、“見た目”も“性能”も両立できる、理想の素材が生まれるのです。

試練Ⅲ「配合比の祭壇」――“ちょうどいい”を求めて

なんとか成形火山を越えた勇者コバレジ。
しかしその先には、静かに佇む謎の壇――「配合比の祭壇」が待ち構えていました。

勇者コバレジ

混ざる技術を手に入れた今、バイオマス素材をたっぷり使えば最強レジ!

その気持ちはわかるけど…配合比を上げすぎると、思わぬ落とし穴があるのよ~

賢者(HP担当者)

実際に、バイオマス比率を高めすぎると以下のような課題が発生しやすくなります。

  • 強度の低下(引張・衝撃強度など)
  • 成形加工性の悪化(溶融粘度・流動性の問題)
  • 製造時のトラブル増加(シワ・収縮・分散ムラなど)

勇者コバレジ

ええっ!? たくさん入れたほうが“エコに見える”と思ったのにレジ…!

そう、“環境配慮”と“機能性”はいつも天秤なのよ。
バイオマス成分を増やしたいなら、その分強度を補う添加剤や、設計見直しも必要になるの。

賢者(HP担当者)

使用用途やユーザー要求に応じて最適値を探ることが多く、一律での正解はありません。

試練Ⅳ「再資源化の祠」――リサイクルへの配慮

こうして幾多の困難を乗り越えてきた勇者コバレジ。
ついにたどり着いたのは、素材の旅の終着地――「再資源化の祠」でした。

ここは、使い終わった素材たちがもう一度生まれ変わるための、"循環の扉”を開く場所。

勇者コバレジ

冒険のあとの“帰る場所”も、ちゃんと考えてあげるレジ!

今や、プラスチック開発においては「使った後どうなるか」までを見据えた設計が重要になっています。
そのためには、以下のような工夫が求められます。

配慮のポイント目的・効果
単一素材化異種材料の混合を避け、リサイクルしやすくする(例:同一系統の樹脂+バイオマス)
添加剤の設計再成形時に劣化やガス発生などを起こさない、安全で安定した配合に
刻印・識別性使用素材やバイオマス含有率などを明記し、分別・再資源化工程での選別を効率化

勇者コバレジ

素材って、使われるときだけじゃなく、“その後”も大事レジね…!

そうなの。真の環境対応とは、“最後まで責任を持つこと”なのよ。

賢者(HP担当者)

実例紹介:ReseamSTという“伝説の配合”

これらの試練をすべて乗り越えて生まれた製品の一つが、株式会社コバヤシの『ReseamST』です。

【ReseamSTの特徴】

  • 独自の分散技術で、バイオマス素材と石油系樹脂の相溶性を改善
  • 食品トレーなどの用途にも対応できる高い成形性と耐久性
  • 使用後の回収とリサイクル※が可能な、循環設計型の製品

※リサイクルは、同一のReseam素材のみ回収した場合に可能です。

勇者コバレジ

伝説の配合、ここにありレジね…!

まとめ:冒険の振り返りと次なる旅路

こうして――

バイオマス素材と石油系プラスチックが手を取り合い、“共存”という名の配合を実現。
素材王国には再び平和が訪れ、開発の新たな地平が開かれたのでした。
(めでたし、めでたし。)

バイオマスプラスチック・配合タイプ設計の“試練マップ”】

試練名技術的な対応ポイント
🟢 分散の谷仲介添加剤での相溶性向上
🔥 成形火山温度・時間・スクリュー制御など緻密な加工条件
⚖️ 配合比の祭壇強度と環境性のバランス設計
♻️ 再資源化の祠単一素材化・識別設計によるリサイクル対応

冒険の終わりは、次なるスタート地点。
素材の世界はまだまだ広く、深く、そして複雑です。

勇者コバレジ

環境とものづくりの未来をつなぐ、次なる冒険に向かって……旅はまだまだ、続くレジ!!

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